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京都モダン建築祭とは

京都モダン建築祭は、京都に現存する魅力的なモダン建築を一斉公開するプロジェクトです。2022年に文化庁京都移転記念事業として、京都モダン建築祭実行委員会と京都市 の共催でスタートしました。建築一斉公開イベントでは全国でも珍しい有料パスポート方式を初めて導入し、パスポート公開とガイドツアーを主なプログラムとして実施。 会期中、モダン建築に関するさまざまな催しが京都市内各所で一斉に行われます。

2024年京都モダン建築祭 開催概要

● 開催日程

パスポート公開 計4日
前期11月2日(土)-3日(日)10:00-17:00
公開エリア:
中京、京都駅・七条、河原町・五条、東山◎

後期11月9日(土)-10日(日)10:00-17:00
公開エリア:
御所西、御所東・吉田◎、岡崎、西陣、北大路、衣笠・北野
◎は新規

● 建築祭期間

2024年11月1日(金)-10日(日) 10日間

● 主催

京都モダン建築祭実行委員会
(京都市、公益社団法人京都市観光協会、一般財団法人京都ユースホステル協会、まいまい京都)

● 共催

京都市

● 協力

京都市交通局、京都市上下水道局、公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団、公益財団法人京都市スポーツ協会、京都岡崎魅力づくり推進協議会、京の三条まちづくり協議会、株式会社あめりか屋、株式会社魚谷繁礼建築研究所、京都駅ビル開発株式会社、株式会社熊倉工務店、株式会社クリーク・アンド・リバー社、株式会社JR西日本コミュニケーションズ、株式会社長谷ビル、株式会社フラットフィールドテクノロジーズ、有限会社前田珈琲

● パートナー

Kyoto Localized、株式会社Clew、株式会社灰孝本店、コミュニティ・バンク京信、一般財団法人NISSHA財団、iHistory Inc.、京都美術工芸大学、株式会社八清、株式会社フラットエージェンシー、株式会社Luup

京都モダン建築祭について

都市の記憶を物語るモダン建築を一斉公開

近現代に建てられたモダン建築の数々は、街の記憶を雄弁に物語る生きた証人です。近代以降、戦争や震災の被害が少なかった京都には、モダン建築が数多く現存しています。ですが、これまで京都といえば...神社仏閣や桜、紅葉、というイメージが根強く、近代の建物が光を浴びることは多くありませんでした。

2021年、京都市京セラ美術館で開催された「モダン建築の京都」展は、これまでまとまって語られることの少なかった京都のモダン建築に光を当て、資料展示にとどまらない横断的な連携によって、京都のモダン建築に実際に触れる豊かな体験の機会となりました。

しかし、明治・大正から昭和・平成を経て令和へ。時代の波は激しく、多くのモダン建築が存続の危機に直面しています。公的支援に限度があるのは言うまでもなく、また海外に比べて建物保存の制度が整わない日本では、さまざまな形で周りが協力しなければ建物が残りにくい状況があります。このため、現状、こうしたモダン建築の維持継承はほとんどが所有者の個人的努力と献身に拠っています。

守ってきた人がいる

モダン建築には、京都という都市が経験してきた歴史と社会と経済と文化が、そして市井の生活が醸成してきた京都らしさが、色濃く表出しています。一歩足を踏み入れれば、身体全体で感じる、場の質感。歳月を...経た建物ならではの、深みと味わい。専門的な知識や前情報がなくとも、建築そのものが語りかけてくる情報は雄弁です。

そして、その奥には、知れば知るほど面白い建築文化の深みが広がっています。建築主や建築家は言うまでもなく、その建設や維持管理に関わってきた施工者、技術者、職人といったつくり手たちの着想、技術、思想。これまでの歴代オーナーや使い手たちが紡いできた物語や時代背景。そこで繰り広げられてきた営みや世界観の変遷。さらに、建築どうしの時間と空間を超えたつながりや、京都という都市へのまなざし。どの建築にもそれぞれの歴史と物語があり、陰に日向にそれを支えてきた無数の人たちがいます。

たしかに京都は戦争や震災の被害が少なかった。でも、それだけで建築は残りません。守ってきた人がいる。受け継ぎ、守り、心を注いできた一人ひとりの意志と努力がなければ、今ここにある建築と出会うことはできませんでした。ここまで受け継がれてきた建築が、今を生きて私たちの暮らしや文化や街並みを豊かにしてくれているという奇跡。この営みがこれからも続くことを願ってやみません。

愛情の伝播で建築文化をつなぐ

その一助となっていきたいという願いをもって、「京都モダン建築祭」は生まれました。普段は公開されていない建築が、関わる人に支えられて、このときだけ扉を開く。それによって、京都で大切に守り継がれて...きた建物や営みが“生きた文化財”として受け継がれ、時代に相応しい形で共に未来へ進んでいけるように。さまざまな歴史と文化が層をなして重なる建築文化を多くの人と共に楽しみ、受け継いでいけるように。次の世代を担う若者やこどもたちが、こうした建築を守りたいと思ってくれるように。建築そのものの素晴らしさができるだけ生き生きと伝わるように。だからこそ、愛情の伝播、発見と学び合いを大切にしたいと考え、専門家によるガイドツアー、オーディオガイドやオンラインコンテンツ等のプログラムを展開し、オーナー自身や当事者によるお話やもてなしを大事にしています。刻々と変わりゆくまちなみの中で、歴代の人々によって大切に守り続けられているモダン建築の存在とその素晴らしさを、多くの人と共に味わいたい。建築を観る対象として楽しむという体験を、もっと多くの人と共有していきたい。そう願っています。

参加費の一部は建築の維持活用に役立てられます

京都モダン建築祭は、建築一斉公開イベントでは全国でも珍しい有料パスポート方式を導入し、2022年に初開催しました。開催期間は3日間で、参加建築数は36件でした。2023年は、前年の反響を受けて規模の...拡大と体験の質的向上をめざし、期間・エリアともに大幅に拡大。参加建築数は76件となりました。また、理念に基づき、パスポート・ガイドツアー・特別イベント等の参加費の一部を参加建築に還元し、維持活用に役立てていただいています。
2024年は「よりわかりすく、持続可能な祭に」を掲げ、誰でも気軽に参加できるわかりやすさと、興味・関心によって選べるプログラムの多様さ。そして今後ずっと続けていけるしくみづくりを目指しています。京都の皆さんと、そして建築祭の理念に賛同いただける全国の皆さんと、共に育てる祭として、ネットワークを深めていくべく今年の準備を進めています。

建築を通して他者を理解する

建築祭で公開建築を訪れたら、ぜひそこで出会った人と対話をしてみてください。ヨーロッパの建築公開イベントでは、スタッフも参加者も「全員が常に学んでいる印象がある」と笠原実行委員長は言います。「教会...、モスク、シナゴーグ、ユダヤ人が作った病院などを、たくさんの人が見て廻りながら、中で対話している。建築を通じて『他者』を理解しようとしているという感じです。そうして初めて、建築が娯楽ではなく、文化になっていると言えるのでしょう」。建築とは、リベラルアーツそのもの。理系や工学部に留まらない総合知だと笠原実行委員長は常々言っています。その建築が今そこにある背景を文脈として理解したとき立ち現れてくる物語を味わい、そのことを誰かと交わし合っていただけたらと思います。
都市が理想を必要とするならば、この京都モダン建築祭で公開されるような建築群が希望を持って共存してゆける将来を私たちは見たい。京都モダン建築祭は、京都という都市の将来とそこでの人の営みをより豊かにしていくためのひとつの試みでもあります。千年続く祭をめざして、今年の一歩をどうかご一緒ください。

京都モダン建築祭実行委員会

実行委員長 笠原一人(京都工芸繊維大学 准教授)
委員 以倉敬之(まいまい京都 代表)
猿渡毅(京都市文化市民局文化芸術都市推進室 文化財担当部長)
倉方俊輔(大阪公立大学 教授)
前田尚武(京都市京セラ美術館 企画推進ディレクター)
南隆博(公益社団法人京都市観光協会 担当部長)
監事 飯尾貴之(京都市産業観光局観光MICE推進室 観光誘客誘致課長)
高田光治(一般財団法人京都ユースホステル協会 専務理事)
アドバイザー 石川祐一(京都市文化市民局文化芸術都市推進室 文化財保護課)
事務局 まいまい京都